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zoom RSS 賢治童話と私 10 「注文の多い料理店」

<<   作成日時 : 2014/08/01 20:15   >>

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 「注文の多い料理店」ですが、イギリス兵のかたちをした二人の若い紳士が、鉄砲をかついで猟にでかけたのですが、一匹の成果もなく路に迷い、山奥の『山猫軒』という不思議なレストランに出くわしたお話です。

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なんと、その注文の多い料理店は、それら二人の紳士を食べてしまおうとする怖いお話であったのです。
でもなぜ、山ねこ拝が、人間を食べようとするのでしょう。それは、『注文の多い料理店』刊行に際して作られた広告文にあったように、都会文明と放恣な階級に対する止むに止まれない反感であったのでしょう。

 人は往々にして、人の気持ちを考えず、威張り散らしたりして横柄な言い方をしたりします。会社のパワーハラスメントなんかそうでしょう。受け身になった人は、仕事への意欲や自信を失い、時には、心身の健康や命すら危険にさらされる場合があるといいます。そのような不条理にたいする仕返しが、山ねこ拝の注文の多い料理店かも・・・。その仕返しがいいとかわるいとかではなく、ひとつの童話とすることで、それを読んだ読者ひとりひとりが、しばし考えてみることを促しているのではないでしょうか。
 自分のしたことがよくなかったと思ったら、つぎからはしないように。また、自分にも、そのような傲りがあったら注意するように。でも、賢治童話は、口にださなくとも、ひとりひとりが、なにかを受け取っていただければ、それでいいのでしょう・・・。

      * * * * * * * * *

 それでは、賢治童話、『注文の多い料理店』の最後のクライマックスの部分を紹介いたします。

「へい、いらっしゃい、いらっしゃい。それともサラドはお嫌いですか。そんならこれから火を起してフライにしてあげましょうか。とにかくはやくいらっしゃい。」
 二人はあんまり心を痛めたために、顔がまるでくしゃくしゃの紙屑のようになり、お互にその顔を見合わせ、ぶるぶるふるえ、声もなく泣きました。
 中ではふっふっとわらってまた叫んでいます。
「いらっしゃい、いらっしゃい。そんなに泣いては折角のクリームが流れるじゃありませんか。へい、ただいま。じきもってまいります。さあ、早くいらっしゃい。」
「早くいらっしゃい。親方がもうナフキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客さま方を待っていられます。」
 二人は泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました。
そのときうしろからいきなり、
「わん、わん、ぐわあ。」という声がして、あの白熊のような犬が二疋、扉をつきやぶって室の中に飛び込んできました。鍵穴の眼玉はたちまちなくなり、犬どもはううとうなってしばらく室の中をくるくる廻っていましたが、また一声
「わん。」と高く吠えて、いきなり次の扉に飛びつきました。戸はがたりとひらき、犬どもは吸い込まれるように飛んで行きました。
 その扉の向うのまっくらやみのなかで、
「にゃあお、くわあ、ごろごろ。」という声がして、それからがさがさ鳴りました。
 室はけむりのように消え、二人は寒さにぶるぶるふるえて、草の中に立っていました。
 見ると、上着や靴や財布やネクタイピンは、あっちの枝にぶらさがったり、こっちの根もとにちらばったりしています。風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。
 犬がふうとうなって戻ってきました。
 そしてうしろからは、
「旦那あ、旦那あ、」と叫ぶものがあります。
 二人は俄かに元気がついて
「おおい、おおい、ここだぞ、早く来い。」と叫びました。
 蓑帽子をかぶった専門の猟師が、草をざわざわ分けてやってきました。
 そこで二人はやっと安心しました。
 そして猟師のもってきた団子をたべ、途中で十円だけ山鳥を買って東京に帰りました。
 しかし、さっき一ぺん紙くずのようになった二人の顔だけは、東京に帰っても、お湯にはいっても、もうもとのとおりになおりませんでした。



「注文の多い料理店にて・・・」

人は 突然の 
あまりにもな
恐怖に出会うと 
一瞬にして白髪頭に
なったり 顔が十も
いっぺんに歳をとったようになり
もうその姿は 二度と
もとに戻らないと言います

注文の多い料理店に
出くわした 二人の都会人は
顔がまるでくしゃくしゃの
紙屑のようになり
一ぺん紙くずのようになった
二人の顔だけは
もうもとのとおりに
なおりませんでした

ときに 童話の世界は
残酷におもえますが
童話の世界だから
ゆるされるのでしょうか
というより 童話だからこそ

現実の世界を
超えて あるのだと
現実世界では
性懲りもなく 殺戮の
繰り返しです

核戦争なんか
起きたら 地球は
どうなってしまうのでしょう

いらっしゃい いらっしゃい
と ニンゲンを食べようとした
山ねこ拝なんか
かわいいお話では
ありませんか

最後は 何事も
なかったかのように
風がどうと吹いてきて
草はざわざわ 木の葉はかさかさ
木はごとんごとんと
鳴ったのです


・8月1日は、自分の田舎では、先祖祭りの日として、お墓参りをしました。そしてまもなく盂蘭盆を迎えます。ときに静かに今は亡き人を偲び、改めて、今の自分を見つめなおします。暑い日々、体調管理には、気をつけて・・・。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ふーちゃんさん、こんにちは。またひと月が、過ぎました!
 宮澤賢治の詩は哲学でもあるのですね。オノマトペ(擬声語や擬態語など)の使い方も、とても魅力的、物語の中にスムーズに入り込めますね。詩の表現の勉強になります。今に通じる、普遍性、さすがだなあと思いました。
 こんなふうに、読む人それぞれが何かを学ぶ、何かを得る、そんな賢治の世界、次回も楽しみです。
 ふーちゃん! このシリーズもぜひ電子書籍にしてください!

 暑さ本番ですが、hukoのところでは空が高くなり、風は早々と秋の匂いを運んできています。季節はいつも動いているのですね、何となく切ないです。
 
huko
2014/08/03 11:19
hukoさん、賢治の世界は読む人の心によって、毎回、新しい出会いがあります。その新鮮さがうれしいです。いつになるかわからないが、いつか賢治についてまとめられたらと思います。暑いなかにも、季節の動きを感じる。そんな敏感さが、詩に繋がっていくhukoさんの清々しさを思います。いつも、ありがとうございます。
ふー
2014/08/04 20:25

ふーちゃん、こんばんは。

ときに 童話の世界は
残酷におもえますが
童話の世界だから
ゆるされるのでしょうか
というより 童話だからこそ・・・

最近、画像の世界も鮮明でリアルすぎて、ゲームの世界なんて実際にそこにいるかのようです。
あまりにも現実すぎる画像だと、目を伏せてしまうほど残酷だったり、ゲームと現実の境界がわからなくなって、はまり込みすぎると、とんでもない事件を引き起こしたりしかねないと思ってしまいますが、童話という世界をクッションにおきながら、このような世界を見ると、心の入ってき方も違うような気がしました。

子供たちには、刺激の強すぎるリアルよりも、ワンクッションおいたリアルで、心にゆとりを保ちながら、賢治のような心に心を残してくれるお話に触れていけたらいいなと思いました。





eri
2014/08/15 22:21
eriさん、賢治童話の世界っていいですね。日々のニュースで、残酷な事件なんか報道されると悲しくなってしまいます。
世の中、もっとおおらかに、ゆっくりと動いていったらいいですね。賢治の言葉より。
わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとほった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
ふー
2014/08/17 17:51

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